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東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗前会長による女性蔑視発言、開閉会式の演出を統括していた佐々木宏氏による侮辱的な企画案、さらにはテレビ朝日「報道ステーション」のCMなど、このところ差別問題が噴出している。 【データを見る】日本人の生産性 いずれも、今の時代においては許容されないものばかりであり、批判されるのは当然のことだが、一方で「社会が息苦しくなる」との声も聞かれる。ビジネスパーソンの中には「会社の中でも、怖くて下手なことが言えない」と不満を漏らす人もいるようだ。つまり、職場などで差別の加害者になってしまうことを心配する人が増えているわけだが、この問題を回避する完璧でシンプルな方法がある。 最初に結論を言ってしまうが、それは「職場ではプライベートな話はしない」という方法である。筆者は冗談で言っているのではない。 実は日本の職場は、仕事以外のムダ話が多く、これが企業の生産性を引き下げると同時に、不用意な発言の温床となっている。諸外国では、ビジネスのIT化が想像以上のペースで進んでおり、多くの業務がITインフラ上で個人完結するようになった。こうした新しい時代の職場においては、よほど親しい人でもない限り「彼氏いるの?」といった会話をする必然性はまったくない。 日本の労働生産性が諸外国と比べて著しく低いことは、すでに多くの人が認識していると思うが、生産性の数字は企業が生み出した付加価値を労働者数と労働時間の積で割って算出する。生産性を高めるには、儲(もう)かるビジネスをするか、労働者数を減らすか、労働時間を減らすかの3つしかない。
日本の生産性が低い理由
生産性が低い理由の一つは、日本企業のビジネスモデルが薄利多売型で利益が少ないこともあるが、社員数が多すぎることと、労働時間が長いことも大きく影響している。日本企業の中には、在籍しているにもかかわらず仕事がないという、いわゆる社内失業者が400万人以上存在しているとされ、年間労働時間も先進諸外国と比較して長い。 加えて日本企業の多くはビジネスのIT化が進んでいないので、社員は顔を合わせて仕事をしなければならない。同じ仕事を多人数で、皆が顔を合わせながら、しかもダラダラと長時間かけてこなしている状況なので、余計な会話をする頻度も高くなってしまう。 社風にもよるが、労働時間が短い諸外国の企業では、多くの社員が定時で仕事を終わらせようと、それこそ鬼の形相でキーボードを叩いている。欧米にもいわゆるセクハラオヤジは存在するが、そんなことを言っている余裕がないことも、セクハラを防ぐ効果を発揮しているのだ。 筆者は「心の中で思っていても、発言できないような環境にすれば差別問題が解決する」と主張したいわけではない。この点は誤解のないようお願いしたいが、現実問題として環境が与える影響は大きく、具体的な事案が発生しにくい環境を構築できれば、やがては内面的な改善にもつながってくる。
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