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衰退するジュエリーブランド4℃はビジネスモデルの限界がきたか? - M&A Online

ヨンドシーホールディングス<8008>が展開するジュエリーブランド4℃の業績が冴えません。2022年2月期の4℃の売上高は前期比11.3%減の120億2,400万円。2021年のジュエリー市場はコロナ禍からの反動があり、前年比17.4%増の9,624億円まで伸びました。市場の回復ペースにまったく乗れていません。

2023年2月期上半期の4℃の売上高は53億6,900万円で前年同期間比2.3%の増加となったものの、2022年のジュエリー市場は4.1%の増加が見込まれています。

4℃は百貨店やファッションビル、繁華街などに出店し、広範な販売ネットワークを築きました。販売員の接客力を高め、営業力の強化を推進してきました。そのビジネスモデルに限界がきているのかもしれません。

この記事では以下の情報が得られます。

・4℃の業績と経営課題
・アイプリモの売上推移

4℃ 新宿店
4℃ 新宿店(同社ホームページより)

販売網を広げた結果として男性客がメインに

4℃はファッションとブライダルの2つの領域で展開するジュエリーブランド。1972年4月に誕生し、今年で50周年を迎えました。原宿で販売していた当時、若者の間にはアクセサリーをカジュアルに身に着けるという習慣がありませんでした。4℃のシンプルなシルバーアクセサリーが評判を呼びます。

1986年にジュエリーの販売を行うようになり、主なターゲットが婚礼間近の20代~30代となりました。現在はメインターゲットよりやや若い層を狙ったCanal4℃、大人の女性向けのEAU DOUCE4℃などの姉妹ブランドを展開しています。

ブランドの中核を担う4℃の売上高は減少が続いています。2022年2月期の売上高はコロナ前の2019年2月期と比べて70億円減少しました。

※決算説明会参考資料集より

4℃の苦境を物語るのが、ジュエリーマーケットの増減と足並みがそろっていないこと。コロナ前のジュエリー市場は2016年の9,413億円で底打ち反転し、微増が続きました。4℃はそれに反するように、5%のペースで減少を続けています。

※決算説明会参考資料集より

2020年は結婚式を挙げられないカップルが急増してマーケットは縮小。4℃もその影響を受けました。しかし、2021年の市場規模は17.4%という大きな反動増が起こりました。それにも関わらず、4℃の売上高は減少を続けています。

コロナ禍で百貨店やファッションビルの客足が遠のいた影響を、4℃が受けているのは間違いありません。しかし、4℃ブランドのファン層に厚みがあれば、販売チャネルがECに変化するだけ。確かに4℃のEC売上高は増加傾向にありますが、コロナの真っただ中だった2021年2月期の売上高でさえ前期比20.6%増の20億4,000万円。前期と比べて3億円しか伸びていません。

※決算説明会資料より

実は4℃の顧客属性を見ると、男性比率が高いという特徴があります。2022年2月期のファッションジュエリーの売上高に占める男性の購入比率は38.9%。女性は31.7%、カップルが29.3%でした。つまり、4℃は女性ファンが少なく、男性のギフト需要獲得がメインになっているのです。

※決算説明会資料より

ヨンドシーホールディングスはこれを経営課題ととらえており、4℃の50周年プロモーションを大々的に行って2023年2月期上半期は男女の比率を逆転させました。

4℃はブランドの構築ではなく、販売網の拡大や接客力の強化に注力してきました。ジュエリーショップは2022年8月末の段階で170店舗あります。2018年8月末は273店舗ありました。

4℃はクリスマスになると、SNSで頻繁に論争を起こすことで有名。ギフトを受け取った女性から失望する声が聞かれるためです。これは4℃が進めてきた経営戦略の失敗とも読み取れます。販売網、接客力を強化したことで男性のギフト需要の獲得ができた一方、ブランド構築を進めなかったことで受け取った側から悪評が広まってしまうのです。

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