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アングル:差別が足かせに、高利貸しに頼るLGBTQ+の起業家ら - ロイター (Reuters Japan)

アングル:差別が足かせに、高利貸しに頼るLGBTQ+の起業家ら

 ケニア・モンバサ市のメアリー・アキニ氏(23)は、身体的特徴からは男女の判断がつきにくい「インターセックス」の女性だ。写真はナイロビで、レインボー柄のTシャツを着たLGBTの権利を擁護する活動家。2019年撮影(2023年 ロイター/Baz Ratner)

[ナイロビ 16日 トムソン・ロイター財団] - ケニア・モンバサ市のメアリー・アキニ氏(23)は、身体的特徴からは男女の判断がつきにくい「インターセックス」の女性だ。銀行の融資審査に通らず、結局、高利貸しから金を借りることになった。人権活動家らによれば、これはケニアのLGBTQ+の起業家の多くが直面する状況だという。

アキニ氏は、事業計画は堅実でクレジットスコアも高いのに、ナイロビにあるケニア女性投資信託の融資責任者からは、性自認が身分証明書と一致していないという理由で審査に落ちたと伝えられたという。

「がっかりした。自分が拒否され、排除された気がして落ち込んだ」とアキニ氏は言う。性自認は女性だが、身分証明書の記載は男性となっている。

ケニア女性投資信託は、顧客データに関するプライバシー保護の観点からコメントを控えるとしている。

ナイロビで活動する人権擁護団体「レインボー・ウイメン・オブ・ケニア」の広報責任者ジェラルド・ヘイヨ氏は、ケニアではトランスジェンダーやインターセックスの人々が正規の金融機関による融資を拒絶され、高利貸しに頼らざるをえない例が多いと話す。

アキニ氏は高利貸しから10万ケニアシリング(約10万円)の融資を受け、月25パーセントの金利を払っている。たいていの銀行融資に比べ、10パーセンテージ・ポイント近くも高い。

ヘイヨ氏は、「こうした高利貸しからの融資によって、LGBTQ女性の多くが債務の悪循環に陥ってしまい、経済的な発展が妨げられてしまう」と語る。

トムソン・ロイター財団では、トランスジェンダー、インターセックス、レズビアンの女性起業家10人に取材した。いずれも、事業成長のための融資を主要銀行に断られた経験があるという。

アキニ氏のように性自認が身分証明書の記載と一致していない、あるいは融資の連帯保証人がトランスジェンダーであるという理由で融資を却下された人もいるが、それ以外の人は、LGBTQ+であると分かっただけで却下されたという。

トランスジェンダー女性のアイリーン・ワゲマ氏は、ナイロビで展開する食料品店チェーンを拡大したいと考え、9年間にわたって取引を続けて来たファウル銀行キテンゲラ支店で融資申込書に記入した。

融資を申し込むのは初めてで、金額は5万ケニアシリング。保証人の欄には、やはりトランスジェンダーであるパートナーの名前を書いた。

「それがトラブルの始まりだった」とワゲマ氏はトムソン・ロイター財団に語った。最終的に、融資の申込みは却下された。

同銀行の広報責任者フリダー・ムトゥア氏は、融資が却下されたのは、ワゲマ氏と保証人が記載した氏名が身分証明書と一致していなかったからだと語る。

ムトゥア氏は声明で「それが却下の主な理由だった」と述べている。

<ジェンダーの変更は可能だが>

ケニアでは性自認としてトランスジェンダーを選ぶことは合法だが、同性愛者やトランスジェンダーに対する差別は広く見られる。また、執行された例はまれだが、植民地時代に制定された法律では、同性愛者による性交渉は最長14年の刑を受ける可能性がある。

ケニアの現行法では、公式の身分証明において氏名やジェンダーを変更することが認められているが、国内では実施例が少ない性別適合手術を受けることが条件とされている。

現在、インターセックスのケニア国民の権利を保障する法制に関するケニア国民人権委員会(KNCHR)の提言について、市民からの意見聴取が進められている。提言には、インターセックスという属性を反映した出生登録や公的書類の修正に関する条項が含まれる。

ケニア西部ブシア郡で活動する人権団体「エリートLBQ」でエグゼクティブディレクターを務めるサラ・アキニ氏によれば、トランスジェンダーその他の性的少数者である国民にとって、銀行融資の利用が困難であることは特に問題だという。雇用市場における差別があるため、自分で小規模事業を立ち上げる人も多いからだ。

起業家のサンドラ・ンジョキ氏(38)は、レズビアンであることを明らかにしたところ教師の職を解雇されたのがきっかけで、美容院を開店することを計画した。

ンジョキ氏はこの5月、シディアン銀行に10万ドルの事業資金融資を申し込み、保証人としてパートナーの名を書いた。

「銀行の責任者は、配偶者として女性の名前を書いた事情と理由を尋ねてきた」とンジョキ氏は言う。

シディアン銀行はコメントを控えるとしている。

業界団体であるケニア銀行協会の広報責任者クリスティン・オニャンゴ氏は、性的志向や性自認を理由として融資を却下された例については把握していないという。

「セクシュアリティーが融資申込みを左右する要因であったことはない」とオニャンゴ氏は言う。「融資要件を満たしているか、それが基準だ」

<差別は経済の足かせに>

LGBTQ+のインクルージョン(包摂)を推進する企業連合「オープン・フォー・ビジネス」では、LGBTQ+に対する視線の厳しい地域にあって、ケニアは比較的寛容で安全な場所だと思われているが、それでも、LGBTQ+差別が経済の足かせになっているとしている。

同連合は、そうした差別はケニアにとって180億─1300億シリング、すなわち同国の国内総生産(GDP)の0.2─1.7%に相当するコストをもたらしていると試算している。

ヘイヨ氏は政界に対し、経済面でのインクルージョンを加速する道として、LGBTQ+企業の融資利用を促進する措置を講じるよう促している。

「性的指向に基づく差別を禁じる政策を実施し、金融教育と支援を提供すれば、LGBTQ+女性の活躍促進だけでなく、この国の経済成長と発展のうえでもプラスになる」とヘイヨ氏は言う。

ケニア政府でジェンダー問題を担当するアイシャ・ジュンワ内閣広報官は、LGBTQ+女性の経済的な排除、特に銀行融資の拒絶に関する質問に関して、LGBTQ+女性は、女性主導のビジネスを支援する政府プログラムを利用する資格がある、と述べた。

そうした取組みの1つが、融資の利用を後押しする「ウウェゾ基金」だという。

ジュンワ内閣広報官は、「資格要件を満たしている限り、融資を受けることができる」と話す。

だが、ワゲマ氏のように、ケニアのLGBTQ+女性の中には、結局のところ高利貸しが唯一の選択肢となってしまう人もいる。ワゲマ氏は事業拡大に向けて仕入れ量を増やすために、20%で高利貸しに頼ることになった。

「これほどの金利で負債を返済していくことは重荷になるだろうが、他に選択肢はなかった」とワゲマ氏は言う。

(翻訳:エァクレーレン)

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